現在、中学校で教えられる授業や勉強方法では、英語は習得できません。
研究熱心で、常に自分の授業に責任を持つような先生ならきっと、生徒のためを思って”非”常識的な授業をなさるかもしれませんが、多くの先生にはあまり期待できないかと思います。
新出単語をノートに10回20回書くとか、本文をノートに写して日本語に訳してくる、なんて宿題を出す先生だったら、その年の英語の授業はあきらめてください。英文和訳なんて明治時代の学習スタイルを今も生徒に強いる先生は、なにも研究なさっていないということです。
中学生になったら、いきなり文法とか、単語のスペルを覚えてテスト、といった学習方法からスタートですが、他にやらなければならないことがあります。やるべき学習の順序がまちがっているため、中高6年も英語を学習するのに日本人は英語が話せないのです。
日本語と英語では、言語そのものの成り立ちや構造も異なります。日本語は文字の言語ですが、英語は音の言語です。音を聞かないで英語の学習はできません。
「聞く」、聞いて「言う・話す」、「読む」、「書く」の順番で学習すれば、効率良く英語の習得が可能です。文法や単語のスペルは最後の「書く」部分の学習ですので、一番後回しでもいいのです。
初心者が英語学習で効果を出すための4ステップ
ステップ1.英語の音声を聞く、とにかく聞く
・楽しい教材を選ぶ
これから英語を始める小学生や英語の勉強を始めたばかりの中学生など英語学習の初心者はまず、英語の音声をとにかく聞いてください。できればちょっとした会話文からはじめて、500wordsぐらいの長文の音声も聞くといいです。
教材はどんなものでも良いですが、聞いて楽しいと思えるような教材を選んでください。楽しくない教材は苦痛です。できれば音声教材のサンプルを聞くことができればいいのですが、聞けない場合はアマゾンのレビューなども参考になります。
NHKラジオ講座のストリーミング放送では無料で音声を聞くことができますので、いろいろ試しに聞いてみて自分にあったレベルを探すことができます。
NHKラジオ講座では、基礎英語やエンジョイシンプルイングリッシュの音声が初心者向けでおすすめです。中学生でも英語の音声に慣れてくれば、2年生ぐらいでエンジョイシンプルイングリッシュは十分聞き取れます。
・日本語解説をさらっと読んで確認、全体を把握して聞く
英文しかのっていない教材を使う必要はありません。日本語解説があるものでかまいません。初めは日本語の解説や和訳を読んでから英文を聞く方法で問題ありません。英文を聞く時は、全体の意味を把握できればいいかなぐらいの気持ちでやってください。
基礎英語は日本語の解説もその都度ありますので、初学者にはうってつけです。英文だけの音声教材では、いくらテキストに解説が記載されていても、英文を聞くのが苦痛になりかねません。難易度は少しずつステップアップしていくといいかと思います。
エンジョイシンプルイングリッシュは和訳が掲載されていませんので、ある程度聞く力をつけてから聞くと良いと思います。
・短時間でも毎日続ける
とにかく短時間でもいいので、毎日続けて聞いてください。最低15分、慣れたら1日1時間ぐらい聞ければ、その分上達も早いです。
人間の赤ちゃんは生まれてから1年ぐらいで、親の言葉はなんとなく聞いて理解します。理解できるまでに1年かかるということです。
大人は言語そのものに対する理解はでき上がっていますが、英語という言語の音声になれる必要があります。母国語とそれ以外の言語習得のメカニズムは異なりますので、赤ちゃんのように、起きている時間×1年という時間をかける必要はありませんが、聞けば聞くほど上達は早いと思ってください。
聞き流すだけの教材が一時話題になりましたが、聞くだけでは英語は話せるようにはなりません。ですが、第1ステップは「聞く」ということがとても大事です。慣れてきたら第2ステップや第3ステップと同時進行でもかまいませんが、聞く量・時間を多くとってください。
・英語の語順で理解する
聞くことに慣れれば、英語の語順で理解できるようになります。英語と日本語では語順が異なりますから、英文を写して日本語訳を書くような学習方法では、英文を語順で理解するトレーニングにはなりません。耳から聞いて、聞いた語順で理解するトレーニングをしなければなりません。
とにかく英語の音声を聞いてください。
こちらの記事も参考になさってください。
2.声に出す
・リピート・音読・会話・シャドーイング
第1ステップに慣れてきて、英語が少しずつ理解できるようになってきたら、音声教材を聞きながらリピートする、テキストを見ながら音読する、音声を聞きながらシャドーイングする、誰かと簡単な会話をするなど、とにかく聞きながら声に出す、テキストを見ながら発声するということを繰り返してください。
テキストの会話文を、登場人物になりきって話してみるとか、誰かに手伝ってもらって交互に会話してみるとか、とにかく発声する機会を作ってください。
・英語の発音を口に覚えさせる
「発声する」トレーニングを行わなければ、当然必要な時に言葉を発することができません。くちびる、舌、顔の筋肉に英語の発音を覚えさせるようにトレーニングをしてください。
・1日のうちで何度も音読
音読はどこでもできるので、1日に何度も行えるといいでしょう。1回1分でもOKです。大きな声を出せないときは、マンブリング(ぼそぼそつぶやく)という方法もあって、ぼそぼそとつぶやくように声を出すだけでもかまいません。あるいは声を出さずに口をパクパクするだけでもいいでしょう。人に見られるとちょっと恥ずかしいかと思いますが、できる環境で少しでもコツコツやってみましょう。
・簡単な英文を作って言ってみる
「聞く」「発音する」に慣れてきたら、3から5語程度の短文でいいので、ぱっと思いついたことを英文で声に出してみてください。”今日は天気だ”とか、”疲れたなあ”とか、”タクシーつかまるかな”とか何でもいいので、思いついた日本語を英語で言ってみるトレーニングをしてみましょう。
あるいはテキストに載っている文の単語を一部変えて言ってみる、というトレーニングもおすすめです。
例えば、” I’m happy. ” → ‘happy’ を ‘sad’、’hungry’、’tired’などと置き換えていろいろ言ってみる、というトレーニングです。
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3.英文を読む
ステップ1・2と続けて、英語の語順に慣れてきたら、英文を「読む」ステップに進みましょう。
中高生が普段読む英文は、教科書にのっている本文ぐらいでしょうか。中学高校6年間で接する英文の量が、現状では圧倒的に量不足です。教科書や問題集以外にも、積極的に英文を読む習慣を作ってください。
・多読
多読といって、絵本などの簡単なレベルから初めて、とにかく英文を読む、という英語習得法があります。
まずはストーリーをある程度知っている昔話や日本でも有名な本の英語版などから始めましょう。知らない単語が出てきても途中で辞書をひいたり調べたりしないで、どんどん読み進めてください。1回で理解できない場合は、同じ文章を何回も読んでください。日本語に変換しないで、英文を語順のまま理解するトレーニングです。
最近は公立の図書館でも洋書を扱っているところもあるので、借りることもできますし、ペーパーバッグ(外国の文庫本のようなもの)も洋書専門店ではない一般の書店で見かけるようになりました。Amazonでも多数取り扱っていますし、ネットオークションなどでも安く入手できますので、いろんなジャンルの英文を読むことをおすすめします。
英文を読むと言えば新聞や雑誌もありますが、新聞や雑誌は独特な表現が多く語彙も難しいため、時事英語などを勉強したいときにはおすすめですが、初心者の多読のための対象としてはあまりおすすめではありません。
また、英語のホームページや英語学習のアプリもたくさんありますが、初心者にはハードルが高いかと思います。それらの中から初心者向けの英文を探すことに時間をとられます。
まずは、手軽に手に入れられる教材で学習するほうが効率的です。書店で気軽に手に取れる本や教材を選んでみてください。
・テキスト選びがわからない時は、エンジョイシンプルイングリッシュ
教材を選ぶ時間がもったいない、何を選べばわからない場合は、NHKラジオ講座のエンジョイシンプルイングリッシュがおすすめです。
ステップ1でも紹介したエンジョイシンプルイングリッシュは、1話500ワードほどのショートストーリーが、日替わりで放送されていて、毎月20回分のストーリーがあります。エンジョイシンプルイングリッシュは半年間のプログラムで、年度の後半(10月以降)は前半の再放送です。
エンジョイシンプルイングリッシュは和訳文が掲載されていませんの全くの初心者の方には難しいと思います。ステップ1・2である程度の英語力をつけて、基礎英語2以上のレベルになってからチャレンジされると楽しめるでしょう。
テキストは、毎月540円(税込)です。電子書籍版もあります。
過去の放送からピックアップされたお話をまとめた、ムック本も販売されています。1冊1404円ほどです。
ムック本はCDもついていますので、音声を聞く練習にも最適です。1冊1404円ほどです。電子書籍版も販売されていますが、CDはついていませんのでご注意下さい。
4.文法やスペルに注意しながら書く
書くというのは、英文を書き写すとか、スペルが難しい単語を10回20回書いて覚えるということではありません。
「聞く」「言う・話す」「読む」ことで、ある程度の英語力がついてきてから、文法を学習してください。おそらくステップ1から3で基本的な英文はマスターできていると思うので、ここでしっかりと文法事項を整理すると、するりと頭に入ってきます。
テキストは中学生向けの薄いもの1冊でじゅうぶんです。
文法を学習したら、正しい英文を書く練習をして下さい。ぱっと思いついた英文を正しい文法で書くトレーニングです。
日記や手紙を英語で書いてみるのもいいですね。
これから英語を学習する方へ
これから英語を学習する小学生、英語を学習始めたばかりの中学生、大学受験に向かってがんばっている高校生、今まで以上に英語力が必要とされるようになってきました。
英語が話せることだけがアドバンテージにはならなくなりますが、話せないことにはスタートラインにも立てないということです。
世の中には、たくさんの英語教材があふれています。どれを使っても真剣に学習すればそれなりの効果はあります。ですが、時間は有限です。なるべく効率的に英語を学習したければ、この4ステップで学習を進めてください。
なるべく短期間で英語を習得したい、とは誰もが思うのでしょうか、書店へ行けば、「1か月でマスターできる」とか「私が3か月で英語が話せるようになった」などといった見出しがついた英語教材がたくさんならんでいます。ある程度の下地があれば、それも可能ですが、全くの初心者がそんな短期間で英語はマスターできません。起きてから寝るまで英語漬けでもおそらく無理です。
この4つのステップは1か月や半年など、短期間で進める方法ではありません。1つのステップにある程度時間をかけなければなりませんが、確実に英語力がつくでしょう。
私がこのブログで小学生が基礎英語1から始める方法をお伝えしていますが、このステップで学習しながら、基礎英語1、2、3とステップアップすれば、旅行に行っても困らない程度の会話力がつきます。
4つのステップに時間をかける割合は、聞く4:言う・話す3:読む2:文法1ぐらいでしょうか。ですが、難しく考えないで下さい。何をすればよいかわからない時は、「聞く」「発音する」「読む」を優先的に学習してください。